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2009年 08月 04日
白い勲章
作詞/宅嶋徳光 補作詞/美空ひばり 俺の言葉に 泣いた奴が一人 俺を 恨んでいる奴がひとり それでも本当に 俺を忘れないで いてくれる奴がひとり おれが死んだら くちなしの花を 飾ってくれる 奴が一人 みんな併せて たったの一人 祭り囃子が 聞こえる部屋に わたしひとりで 座っています それでも 本当に 俺を忘れないで いてくれる奴が一人 あなたの言葉 ひとつひとつが胸に いまも 聞えて 離れないの 二人 合わせて たったのひとり みんな合わせて たったのひとり これは、私の知っている詩である。戦没学生・宅嶋徳光の手記「くちなしの花」のなかに収められている詩である。この本を私は持っている。ひばりも、この本を読んだのだろうか。補作するからには読んだのだろう。1番は、宅嶋徳光の原詩のままである。なので、ひばりの補作は2番だ。 この詩は、昭和19年6月30日付けの日記の最後のところに書かれている。この日の日記は長いので、ピックアップする。 「閉塞された世論の中で、国民は忍耐と諦念のみ強制され続けてきたのであるから、真相を把握するだけのデータを有しない。マンネリズムと、そしてデマゴーグによって、社会を動かしてきたことの旧悪の暴露である。国民の世論の核心となるべきジャーナリズムの罪であり、更にジャーナリズムの言論を制約せしめた一つの、ある強権力の罪である。必ずや社会は、根本的な批判の俎上に立たねばならぬであろう。改革が必要である。」 「明治の憲政に華やかに登場した民権は、政党の没落と共に何処かへ転落した。新たな政治教育が必要である。がしかし、既に遅い。」 「八重子、極めて孤独な魂を暖めてくれ。」 「再びいう。俺たちは冷酷な一つの意志に支配されて、運命の彼岸へ到達する日を待たねばならない。」 「俺は理解されなかったかもしれない。父がいったように、俺は変人だったかもしれない。ただ俺が君やみんなに対して示した、優しさのみしかもたぬ奴だと考えないでくれ。俺のただ一つの理想に対して、俺の心は不断に燃えていることを記憶してくれ。 唯一の理想--------それは自由に対するものである。 俺の言葉に泣いた奴が一人 俺を恨んでいる奴が一人 それでも本当に俺を忘れないでいてくれる奴が一人 俺が死んだらくちなしの花を飾ってくれる奴が一人 みんな併せてたった一人・・・・・」 ------以上、昭和19年6月30日付けの日記から抜粋。 6月30日は、この詩で締めくくられている。
by jun-milky
| 2009-08-04 22:59
| 日記
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